今月の推薦図書

おじいちゃん戦争のことを教えて

“おじいちゃん、お元気?今日はお願いがあってお手紙を書きます”…それは、ニューヨークに住む高校三年の孫娘からの手紙だった。当初、英語では苦労したようだが、得意の数学では校内コンテストで一位になり、地元の新聞で紹介されてもいた。それまで歴史の授業が好きではなかった孫娘がアメリカ史には強い興味を覚え、その授業の中で日本の近現代史、特に、戦争体験者の話を発表したいという孫娘の願いだった。しかし、日本の学校の歴史の授業では古代は詳しく教えるにも拘らず、明治以降はほとんど習っていなかった。これは孫娘の率直・素朴な質問の一つ一つに、ありのままの体験と考えを素直に、真正面から答えた著者の自分史の記録であると同時に、日本という国の偽らざる歴史そのものである。出版後、数千人の老若男女の読者から感想文が寄せられた。
「これまで私は自分が日本人であることを忘れ…、いえ、自覚せずにいました。この本に出会い、自分に“国”があるという意味を知ることができました」、「昔の人は誇りを持って“凛”としていた。自分よりももっと大切なものを持っていた」、「私はこの本を読むまで日本が戦争に向かった経緯を知らなかった。でも、この本を読んでいろんな理由があったと分かった。余計なことまで日本のせいにされるのは嫌だ。正しいこと、間違っていることを判断し、自分の意見を持つ為に私はもっと詳しく知りたい」

この本中條高徳著『おじいちゃん戦争のことを教えて』は、私達現代の日本人が忘れていた記憶を甦らせてくれます。高校生のみならず、その父母世代ですら、この本が語る内容を知る人はほとんどいないかもしれません。それほどに今、日本の歴史は消えかかっているように思います。私は、日本の子供達が日本の歴史を正確に知って欲しいと願っています。

出版社小学館