今月の推薦図書

芥川龍之介 房総の足跡

芥川龍之介の『羅生門』、『鼻』、『河童』などの作品は国語の教科書などでもお馴染みですが、彼の作品には『美しい村』という未完成の作品があります。東京で生まれた彼はその35年の生涯(明治25年~昭和2年7月没)でたくさんの作品を書きましたが、その晩年である大正13年(本校創立の翌年)2月22日に取材のために八街を訪れ、のちにこの作品を書きはじめました。しかし、残念ながら完成することなかったのです。この『美しい村』は原稿用紙9枚しかありませんが、当時の八街の様子が描かれています。特にその最後の部分には「黎明新聞」という文字を見つけることが出来ます。そうです、千葉黎明高校の「黎明」です。著者は高校の国語の授業で文豪芥川龍之介が八街に来ていたという事を知ったことがこの本を著すきっかけになったとしています。とても興味深く読むことが出来ます。他に一宮、成田、銚子、勝浦などとの関わりについても書かれています。私の推薦する市原善衛著『芥川龍之介 房総の足跡』を是非読んでみてください。

推薦者  教頭  根本 明彦

出版社文芸社