今月の推薦図書

はやぶさ式思考法

今月の推薦本は川口淳一郎著『はやぶさ式思考法』(新潮文庫)です。総移動距離60億㎞、小惑星イトカワからサンプルを持ち帰った日本の探査機(はやぶさ)のプロジェクトの物語です。この世界初の偉業が達成されてからもう四年になります。7年間の宇宙飛行の果てに地球に帰還し、持ち帰ったちりは世界中の研究テーマとして提供されています。はやぶさに関わった人たちは、限られた予算や試作や試験が何度も繰り返せない宇宙空間の中で日本のあらゆる技術の結集させ、それまで経験したことがない事態を見事に乗り越えました。この本の中にある過去に正解のない問題に直面した時の思考法は皆さんの毎日にエキサイティングな想像の光を射しこんでくれると思います。副題は「想像的仕事のための24章」とありますが、勉強のため、高校生活のための24章といってもよいかと思います。また理系に進路をとりたい人へのガイドブックにもなるでしょう。みなさんの明るい未来、それは次のはやぶさが飛び立って再び帰還することも期待できる将来の姿になることでしょう。探査機はやぶさをテーマにした映画も三本作られたと記憶します。読むのが苦手な人は、DVDを借りるのもいいかもしれませんが、ここは読書と行きましょう。

出版社新潮社