今月の推薦図書

食といのち

『食といのち』辰巳芳子 著(文藝春秋) 辰巳芳子さんは料理研究界のパイオニア的存在で、その美しい立ち居振る舞いの姿に私も憧れと尊敬の気持ちを抱く人の一人です。この方が考案する料理法は「相手への思いやりの表現そのもの」であることが写真を見ても文章を読んでも伝わってきます。医食同源という言葉があるように「食」と「いのち」は直結しています。「忙しいからそんなのは無理!」と決めつけていた自分を思わず反省したくなる一冊です。ぜひ、手に取って見て下さい。男女共に料理を楽しむ時代になりました。食材選びから器、盛り付けまで料理は相手への思いを伝える格好の手段かもしれません。最後に辰巳芳子さん伝授の「葱のスープブイヨン」のレシピを紹介します。[長葱10本を刻み、オリーブオイルで飴色のパテ状になるまで気長に炒める。多めの塩を入れて全体が冷めたら瓶に詰めて冷蔵庫にストックして色々な料理の隠し味に。スプーン一杯を熱湯で割れば身も心も温まるスープになります。                            

出版社文藝春秋