今月の推薦図書

拉致と決断

今月の図書部のおすすめ本は、拉致被害者である蓮池薫さんの著書『拉致と決断』(新潮文庫)です。大学に通っていた1978年の夏休みに新潟県柏崎に帰省中、恋人と海辺を歩いていたときに突然拉致された事件は実際に起こったこととしては今でも信じがたいと言わざるを得ません。この本では蓮池さんが「かの地」にどのように連れ去られたのか、またどのような生活を送っていたのかが詳細に記されており、その内容に引き込まれ一気に読了しました。日本にはもう二度と帰ることができないという諦念を抱きながら自分と家族がよりよく生き抜くための決断を迫られる日々がつづられ若干の恐怖感を覚えるとともに平和の尊さを改めて気づかされました。今はただ拉致問題が全面解決することと日本へ帰国した方々とそのご家族の幸せを切に願うばかりです。

推薦者 図書部 北 益嘉先生

出版社新潮社