今月の推薦図書

ゾウの時間 ネズミの時間

もうすぐ長い夏休みがやってきます。部活に励んだり、勉強に集中したり、仲間と思い出を作ったり、過ごし方はそれぞれだと思いますが、きっと好きな事をするのに費やす時間も多くなるでしょう。そんな時は是非、いつもは読まないような本にも挑戦してみて下さい。私がこの本川達雄著『ゾウの時間 ネズミの時間 -サイズの生物学-』(中央高論社)という本と出会ったのは、皆さんと同じ高校生の頃でした。いつもの小説もいいけれど、たまには新書も読んでみよう、と思い本屋へ駆け込みました。

ゾウは「長生き」でネズミは「短命」なのか?けれどそれは時計で測った時間に過ぎません。著者は「ゾウのように大きな動物は鼓動がゆっくりで、ネズミのような小さな動物は鼓動が速い」と言っています。更に「一生のうちで動物が鼓動する回数は同じ」であると。つまり、一生を生きる時間の感覚はゾウもネズミも実は同じなのではないか。同じ空間にいるのにゾウもネズミも全く違う時間を生きているのではないか、と言う事が当時高校生であった私には衝撃的だったのです。この本が皆さんに同じような“衝撃”を与えるかどうかは分かりませんが、読後はまた世界が少し違ったように見えるでしょう。是非ご一読下さい。

推薦者 図書部 宮崎 優香 先生

出版社中央高論社