今月の推薦図書

言葉とは何か

今回 私が推薦する本は、丸山圭三郎著『言葉とは何か』(ちくま学芸文庫)です。この本は「言葉とは何か」という問いに向き合うための入門書です。著者はソシュールの言語学研究の第一人者で、原著にあたって研究を進めてきました。この本の解説に「言語学、記号学、ソシュール、丸山圭三郎に関心のある若い読者にはまず本書から読み始めることをお勧めする」とあるとおり、とてもわかりやすい言葉で書かれています。しかし、そのわかりやすさによって、読む者はさらに、言葉の不思議さ、奥深さへといざなわれ「言葉とは何か」という問いの答えが何かというよりも、その本源的なものへと導かれていきます。また、この本の後半には著者の弟子の一人である中尾浩さんによる解説とあとがきがあります。そこに書かれている著者の生涯や思想の一端に触れることで、さらに「研究するとは何か」ということまでを考えるにいたります。皆さんもぜひ、言葉の奥深さを感じてください。そうすれば、きっと言葉を大事にしようと思うでしょう。

推薦者 図書部 佐藤 聖子先生

出版社ちくま学芸文庫