今月の推薦図書

無私の日本人

今月のおすすめ本は、『無私の日本人:穀田屋十三郎』磯田 道史著(文春文庫) です。江戸時代に皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか?徳川幕府による治世は300年続きました。この時代で仙台藩(伊達家)支配の吉岡宿の住人が、苦しい生活の中から知恵を絞り、いわゆる民間資金を集めて作り出し、それを財政に苦しむ藩に貸した上で、利息をいただき、それを住民に配って公益になるようにした。さらにそういう美談を後世に、自慢話にならぬように戒めて現代につないだことを小説化したのが本書です。日本人の美徳とは何か?公共、公益とは何か?など一気に読める物語の中に、現代に生きる日本人が忘れている部分や、これからの未来に生きるために必要な部分が見出されます。ぜひ一読をお勧めします。著者の磯田さんは、NHK歴史番組などでもお馴染で、慶応大学出身の学者であります。なお本書では全部で三篇の物語で掲載されています。

推薦者 理事長・校長 西村 清 先生

出版社文春文庫