理事長コラム

第96回卒業証書授与式 式辞

ご卒業おめでとうございます。新型コロナウイルス感染拡大という未曽有の波乱の中で無事に単位取得され、晴れて卒業となられた皆さんには、これまで以上の敬意と祝意を申し上げます。昨年来のコロナ禍で共に闘った保護者の皆様、教職員各位のご支援とご努力に重ねて御礼申し上げます。

 さて、皆さんへ贈る言葉として、「危険に際して大事なのは、”備”と”護”である」という御示唆がございます。正に今年は疫病に対する準備と、関係する皆様を護りきる知恵と勇気がさらに問われました。一昨年の台風災害でも備えの大切さを学びましたが、それは局所的、時系列的に被害予想が可能な範囲でありました。ところが今回の感染症は地球的規模であり、スペイン風邪以来の病災となっております。ここでは「備と護」以上に「希望」なくしては乗り切れないことを痛感しております。2012年にノーベル賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授はコロナの流行初期から「治療薬やワクチンが開発配布されるまでの長期戦」であると喝破されていました。本校の体育館懸垂幕に「治療薬の確立とワクチン配布の長期戦」と掲げさせていただいたのは、教職員生徒への啓蒙と共に、「希望」への期待でもあります。欧米に続き日本でもワクチン配布開始、さらに治療薬の確立は次第に成されてきました。

 日本国政府は千葉県を含み二回目の緊急事態宣言を発出いたしました。しかしながら、ワクチン配布による免疫獲得と東京オリンピック・パラリンピックの開催は「希望」であります。それは卒業される皆さんにとってもさらに大きい期待であると存じます。進路の用意は、4月に向けて準備をし、健全な肉体と精神で自分自身を護り、気持ちを前向きに希望を絶やさない、「備、護、望」に集約されることとして、この三文字を特に送る言葉としたく存じます。

 最後になりましたが、昨年受賞しました藍綬褒章は学園学校全体として受け止めて、改めてお礼を申し上げると同時に、私自身と学園の成長と発展に精進したいと存じます。
 学校の成長に応じた学校改革や改善、私学全体としての国や県への活動、また地域、企業、団体への深耕は校内外の皆さまのご理解とご協力の賜物であって、その結果が今回の受章となったと信じております。
 黎明学園は100周年に向け、施設の改善、学事の伸張と黎明ファミリー挙げての教育、振興にさらなるご助力を賜りますよう、御礼方々御願い申し上げます。